赤い糸~切れた糸の続き~
出世とすれ違い
ー4月になった。

また新たな年度が始まる。

今日もアレクにまたがり、会社に向かった。

健斗くんは今日、新入社員として社会人デビューする。

聖は入学式がもう少し先なので、まだ春休みエンジョイしてるけど。

会社に着き、いつものように皆に挨拶し、段取りを組んだ。

年度始めはかなり忙しいからなぁ、いろいろと。

周りがやけに騒がしい。

私は気にせず自分のデスクに向かい合う。

「生田センパーイ」と可愛くぶりっ子してくるのは私の後輩。

中々のセンスと度胸の持主。

私も実はちょっと憧れたりした。

「んー?どしたのー?」と笑顔で聞くと、こっちと手を引っ張られて連れてこられたのは…掲示板の前?

そこには私の名前が!!

えっ?!これって辞令?

私は言葉を失った。嘘でしょ?!

いきなり…そんな話聞いてないわよ?

福本さんは知ってたはずよね?何で教えてくれなかったんだろう?

しかも秘書課、室長秘書⁉

何よそれ!そこにおはよーと福本さんが現れた。

相変わらずの爽やかさだ…って違う!

そうじゃない!ちゃんと説明してもらわないと!

私は福本さんを睨み付けた。

福本さんも一瞬怯んだようだったか、掲示板を見て察したのか、ばつが悪そうな顔をしていた。

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