Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜
美希が渋々納得して、梨香と菜穂子と共にホテルの部屋に戻ってから、二時間ほどが経とうとしていた頃だった。
美希が見つめていたスマホの着信音が響いた。
美希はそれまでの間、着替えることも、シャワーを浴びることもできず、ただスマホを握り締めていた。
待ち侘びていた着信音に、菜穂子と梨香も慌てて駆け寄り、梨香が通話のスピーカー部分をタップした。
「遅くなって申し訳ありません」
期待通り、電話は『clair de lune』(クレール・ド・リュンヌ)の店長からだった。
しかし、その一声を聞いただけで、それは吉報を伝えるものではないと、声のトーンと雰囲気から伝わって来た。
きっとそこにいた三人が、みんな感じたことだろう。