Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜


「ま、ハルも一緒なら安心だよな。じゃ、また明日スタジオでな。
ほら、お前ら行くぞ」


アキよりも二歳年上で、デビューも一年先輩の青木が、まだ絡もうとする仲間の背中を押して、その場を収めてくれる。

彼は、事務所の入所時から二人のことを何かと気にかけてくれて、この世界のこともいろいろ教えてくれた。
今はこのチームのリーダー的存在だ。
テレビや映画など大衆向けの露出度こそ少ないものの、常に舞台で活躍していて、その実力は定評がある。

何かあれば、とても頼りになって、
「青木先輩がそう言うなら大丈夫」的な空気は、絶対的信頼度の現れだと思う。

その先輩の助け舟に感謝して、仲間に手を振り背中を向けた。


まだライブの卒業はしたくない。
この愛すべきメンバーの中に、まだ自分の居場所を残しておきたい。

どんなに忙しくなっても
自分がやれる限り頑張ろう…。
アキはそう強く思った。

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