夢幻の騎士と片翼の王女




「ジゼル…どうかしたのか?」

それは、朝食の時の出来事だった。



「いえ…なんでもありませんわ。」

ジゼルはそう答えたが、汗が吹き出し、顔色は血の気を失っていた。
どうやら、相当に体調が悪いようだ。



「し、失礼します。」

ジゼルは朝食の場から立ち上がり、食堂を出て行った。
朝食の途中でそんなことをするなんて、よほどのことだ。



(……まさか!?)



私の心にある推測が浮かんだ。
もしかして、子が出来た兆候なのか?



ジゼルは、そのままなかなか戻って来ず…結局、朝食が済んでも戻っては来なかった。



「ジゼルはどうした?」

「先程、診察を受けられたようですが…」

私は、ジゼルが戻って来るのが待ちきれず、ローランド医師の元を訪ねた。



「ローランド、ジゼルは…」

「これは、アドルフ様。
この度はおめでとうございます。」

「何…それでは…ジゼルは…」

「はい、ご懐妊されております。」

「な、なんだと…!そ、それは本当なのか!?」

私は思わずローランド医師に詰め寄っていた。



「は、はい、まず間違いはないかと…」

「そ、そうか…ジゼルに子が……」

私は声を上げて笑った。
それほどまでに嬉しくてたまらなかったのだ。
ついに、私はこの国の王子としての務めを果たしたことが…
これからは、あの雌豚を抱かずに済むことが、嬉しくてたまらなかったのだ。
< 153 / 277 >

この作品をシェア

pagetop