夢幻の騎士と片翼の王女
恋心(side 亜里沙)
本当にびっくりした!
まさか、リュシアン様が歌われていたなんて…
しかも楽器まで弾かれて…



「あの歌は、誰か特定の方のために歌われていたのですか?」



聞いてみたかったその言葉は、やはり私には言えなかった。
だって、リュシアン様の歌声には本当に心がこもっていて…
ただ、歌が好きなだけで歌われていたようには思えなかったから。
リュシアン様に好きな方がいらっしゃっても何の不思議はない。
だけど、なぜだかそれを直に聞くことには抵抗があった。



だって…初めてお会いした時から、リュシアン様にはなんだかおかしなほど心がかき乱されて…



それは、リュシアン様がとっても格好良いからってことでもないと思うんだけど、まるで一目惚れみたいな…いや、違うな…うまく言えないけど、もっと何か深い所で、心がざわめくって感じかな。



(……ってことは、私…リュシアン様のことが気になってるってこと?
もっとストレートに言えば……好き……??)



そんな馬鹿な…
リュシアン様のことなんて、ほとんど何も知らないのに…
好きになるはずなんてない。



それに、好きになってもどうしようもない人だもの。
だって、私はアドルフ様の側室。
今までは名ばかりの側室だったけど、ついに塔から出たわけで…
もしかしたら、今夜にはアドルフ様の夜のお相手をしなければならないかもしれないんだもの。



そんな私に、リュシアン様を好きになる資格なんてない。



(そうよ…きっと、私…リュシアン様の見た目が格好良いから気になってるだけ…
うん、そうに違いない…)



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