夢幻の騎士と片翼の王女
寝室の前で立ち止まり、ノックをする。



中はしんと静まり返っていて、何の返事もない。



「アドルフ様、亜里沙です。」

声をかけたけど、返事がない。
どういうことだろう?
もしかして、待ってる間に眠ってしまわれた??



「アドルフ様…!」

今度は少し大きな声をかけてみた。
でも、やはり返事はなくて…



「亜里沙様…何をなさってるんですか?」

「えっ!?」

後ろから駆けられた声に、背中が波打った。



「何って…その…入っても良いのか…」

「はぁ?」

「だから、アドルフ様が…」

「アドルフ様ならさっきお部屋に戻られましたが…」

「えっ!?」

「明日の朝食の時に、また来られるとのことでした。」

「そ、そうなの??」



どういうこと!?
よくわからなかったけど、とにかく、今夜は何もしなくて良いみたい。
そう思ったら、なんだか緊張していた気持ちが急にほぐれて、ベッドに横になるなり強い睡魔に襲われた。


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