夢幻の騎士と片翼の王女
(あぁ…そうそう…こんな感じだったよ。)



森の中に足を踏み入れ、そこで後ろを振り返った。
その場所からは、白いお城が印象的に見える。
あの時は夜だったけど、月明かりに照らされて白いお城ははっきりと見えた。
まさか、それが本当のお城だなんて思わなかったから、ラブホかな?って思ったんだよね。
本当に馬鹿だな…



私は、再び向き直り、森の中を歩き出した。
今は明るいから、心細さもない。
昼と夜ではやはり印象がずいぶん違う。
あの時の森はもっとずっと怖かった。
でも、今は怖さなんて少しも感じない。
鳥の声も聞こえるし、良い風は吹いてるし、穏やかな感じしかない。
お弁当でももって遊びに来たくなるような良い場所だ。



私の足はどんどん進んだ。
あの時は、森を抜けるまでずいぶんかかったような気がしたけれど、多分、本当はそれほどでもなかったんじゃないかって思う。
怖さが距離をも勘違いさせたんだ、きっと。



(あれ……)



森の中なんてどこも似たような景色だけど…
その場所は、なんとなく見覚えがあるような気がした。



(もしかして、ここが……)



「な、なにっ!?」



突然、赤い指輪が輝き始めた。
それはあたりの景色すら、かき消してしまうほど眩い光で……
私は固く目をつぶった。
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