夢幻の騎士と片翼の王女

だんだんと暗くなって来て、なんとなく心細い気持ちが募って来る。
ついランプを探してしまい、あ、そうだ、ここには電気が通ってるんだったって思い出し、スイッチを入れたけど明かりは付かない。
ここには誰も住んでないから、電気の契約を切ってあるんだろうか？
仕方なく、私は、暗い居間のソファに腰掛けて、お母さんが来てくれるのを待った。



柱の時計を見たら、時計も止まってる…
誰も最近ここには来てないのかな？
そういえば、リフォームするって言ってたのに、何も変わってない。



ソファに腰掛けてどのくらい経ったのかよくわからなかったけど、表に車の停まる音がして、にわかに胸が高鳴った。
もしかして……



車のドアを閉める音がして、足音が近づいてくる。



「お母さん…」



私は立ちあがり、玄関に向かった。
玄関で、がちゃがちゃと鍵を開ける音がして…



「亜里沙…！」

「お父さん…！」

私は思わずお父さんに抱き着いてた。
お父さんのにおいと温もりに安心したのか、涙が止まらなくなった。
お母さんも私の背中で泣いていた。



私…本当に帰って来たんだって、強く実感して…
余計に涙が止まらなくなった。