夢幻の騎士と片翼の王女
子供の頃、夏休みの度に家族でこの別荘に遊びに来た。
中でも、この屋根裏は、一番のお気に入りの場所だった。
家には屋根裏なんてなかったし、まるで秘密基地みたいな感じで…
ちょっと怖いけど、わくわくする…そんな特別な場所だった。



(あ、これ…お兄ちゃんの車…
あ、そうだ!これ、子供の頃、なくなったって大騒ぎして…確か、お母さんに泣きついてまた同じの買ってもらったんだよね。
こんなところにあったんだ。)



棚の上にみつけた緑色のミニカーを私は手に取り、懐かしい想いに浸った。
見渡せば、私やお兄ちゃんのものらしきおもちゃや絵本がいくつかみつかった。
なんだか懐かしくて思わずそれらを手に取って見てしまう。



(だめだめ、こんなことしてたら全然片付かない。
ここにあるものは全部捨てて良いってことだったから、さっさと片付けないと…)



私はごみ袋を広げ、そこらのガラクタを放り込んだ。
こんなにほこりがあるとわかっていたら、マスクをいっぱい持って来たのに…
それとも、今から買いに行こうか…
そんなことを考えている時、私はあるものをみつけた。
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