夢幻の騎士と片翼の王女
あった…!


何重もの油紙に包まれた小さな包み…俺は、茶色くなったその包みをほどいた。



「これだ…!」



記憶の中にあった箱が、今、現実に俺の目の前にある。
汚れた手を服でなすり、俺は慎重にその箱を手に取って眺めた。
やはり、どこにも蓋らしきものはない。
だが…今の俺は小さかったあの時の俺とは違う。
きっと、みつけられるはずだ。
そのからくりが。
軽く振ると、やはり中に何かが入っているような音がした。
カイヤの話を考えれば、きっとそれは指輪のはずだ。
青い…ゆ…



その時、俺の脳裏に不意に亜里沙の赤い指輪が思い浮かんだ。
カイヤの言った青い指輪は、もしかしたら、あの亜里沙の指輪と対のものなのではないだろうか?



ふと思い浮かんだその考えに、俺の鼓動はますます速くなる。
あと少しだ…あと少しで、俺は何らかの答えに辿り着く!
箱にはきっと何か仕掛けがあるはず…
俺は、今一度箱を調べた。



(……え?)



箱の底に小さな螺子があった。
なぜ、今まで気付かなかったのだろう?
少し不思議に思いながら、俺はその螺子を回した。
動かなくなるまで巻いて、その手を離すと、どこか聞き覚えのあるようなメロディが流れ出した。
哀愁に満ちたその曲は、俺の心をざわめかす。
こんな細工があったのかと思っていると、不意に箱の上部が起き上がった。
蓋が開いた格好になったのだ。



そして、箱の中には、予想していた通り、青い指輪がおさまっていた。
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