夢幻の騎士と片翼の王女
「君こそ誰なんだ?」

リュシアン様の右手が、腰の剣にかかるのを感じて、私は身を固くした。



「俺は亜里沙の兄だ。」

「兄…?亜里沙…本当なのか?」

「は、はい、本当です。祐一兄さんです。」

「そうだったか…
俺は、ユーロジア王国の第一王子、リュシアンだ。」

「リュシアン…王子…?」

兄さんは、リュシアン様のことをただただじっとみつめていた。
兄さんもきっと今混乱しているはず。
だって、突然、私の妄想だと思っていたリュシアン様が現れたんだもの。



リュシアン様は、この時代の者とは明らかに違う服装をしてるし、コスプレにしては手が込んでると思ってるんじゃないだろうか?
でも、リュシアン様がなぜここに…?



「亜里沙…ここではなんだ。
下で話そう。」

「は、はい。
リュシアン様…どうぞこちらへ。」

私達は、リュシアン様を下の居間に案内した。
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