夢幻の騎士と片翼の王女
決意(side 亜里沙)
(どうしよう…)



せっかくリュシアン様に会えたっていうのに、このままじゃ、リュシアン様の身が危ない。
きっと、リュシアン様は不審者として警察へ連れて行かれるだろう。



今頃、兄さんはお父さんに電話してるはずだ。
すべてを話してもきっと信じてもらえないだろうから、とにかく来てくれるように話してるんじゃないかって思う。



(どうすれば……)



私にはそれをじっくりと考える時間もない。



迷いはたくさんあるけれど、とにかく今の気持ちに素直になろう…



(私はリュシアン様を愛している。
だから、リュシアン様を護りたい…!護れるのは私だけなんだから!)



「リュシアン様、こちらへ。」

「どこへ行くつもりだ?」

「帰るのです!」

「帰る……?」



(あ、そうだ…!)



「リュシアン様、ちょっとだけ待って下さい。」



私はメモを手にしてペンを走らせた。
私のことは心配しないでと…家族に向けた短いメッセージを残すために。
自分の書いたメモを見ると、なんだか少し心が揺らいだ。
もしかしたら、もう二度と家族とは会えなくなるかもしれない。



でも、私がここで迷ったら、リュシアン様を護ることが出来ない。



「さぁ、行きましょう!」



私達は、無理やりに想いを断ち切り、屋根裏へ駆け上った。
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