夢幻の騎士と片翼の王女
それからは、本当に忙しい日々が続いた。



婚礼のための衣装の採寸、そして仮縫い…結婚式での作法の勉強…
毎日、いろんなことに追い立てられて、あっという間に時間が流れた。



なんと、私達のためのお城まで建設中だ。
新たなお城が建つまでは、今のマンシェル城で暮らしてる。
私の部屋は、まだそのままにしてあって…
メアリーさんとアンナさんも、また私に付いてくれることになった。
二人は、私が無事だったことを心の底から喜んでくれたし、リュシアン様との結婚のことも…



でも、本心ではどうだろう?
私が、アドルフ様の側室だったことを二人は知ってるわけだし、複雑な想いはあるんじゃないかな?



二人だけじゃない。
どのくらいの人が私のことを知ってるのかわからないけど、私がアドルフ様の側室だったことを知ったら、誰だって、複雑な気持ちになるだろうな…



(って、そんな弱気になってどうする!
私は、リュシアン様と一緒に生きていくって決めたんだから…!)



弱気な自分に喝を入れた。
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