雪の華~茉叶の恋~
本音

学校の帰り道


皇雅くんの家の前


部屋の窓あいてる…呼んでみよ‼


-皇雅くん‼-


窓から顔を出す彼は「今帰り?」


「うん‼今暇?」

「暇だけど…何?」

「相談…いい?」

「部屋、散らかってるけど上がってこいよ」

「うん‼」


全然、散らかってないじゃん。

しかも…いい香り

女っ気の全くない部屋


-失恋しました‼-

何て言えないから


「フラれた…」


「ふぅーん…で?」


「思ってた感じと違ったってさ」


「何それ…?」


「もっと、かわいい感じかと思ったんだって…」


「茉叶が?マジ?」


この反応、どうとればいい?


「かわいくない?」


「かわいいと思うよ…でもさ、さばさばじゃなくて…甘い感じの子が良かったって事かもな?」


「皇雅くんの彼女はどんな感じ?」


「あぁ…別れたよ」


「何で?」


「好き…じゃなかったから」


「何で付き合ったの?」


「告白されて…まぁ…いいかなって」


「最低じゃん‼私なんてマジで好きだったのにさ…」


「俺は…どんな子と付き合っても…多分、長く続かないタイプかもな」


「私となら続くかもよ?」


「茉叶は俺の妹みたいな感じだし…付き合うとか想像できないよな?」


冗談で言った訳じゃないのに…

本気だったのに…


「そうだね…」


「だよな」


そう言って笑う…

くしゃって…

その顔…もっと見てたい。


「女子力、上げなきゃ‼」

「俺みたいなヤツもいるし、茉叶らしくいればいんじゃない?」


そう言うなら…


付き合ってよ…


いっつもそうじゃん…


優しい事言っといて、期待させて…茉叶らしくって何?


相手に尽くしたってこんなじゃん。


夜、ランニングする先輩に付き合った


部活後にジュースだって差し入れした日もあった


サッカーの話しだって…耳にタコができるほど聞いた


なのに…かわいくないって…切なくない?


見たいドラマ我慢して、電話もしてたし…



私、バカみたい。



恋なんて…消えちゃえばいいのに…


「でもさ…私らしくいたら、また失恋じゃん?」


「自分を取り繕ってまで付き合うの…面倒だよな…」


-そんなのつまんないし…-


独り言みたいに言った。


ある程度は取り繕わないと…付き合っていけないよ?


「じゃあ、おうちゃんはさ」


「おうちゃんはもうやめよ…」


「ごめん…つい…じゃあ皇雅くんはどんな人がタイプ?」


初めて聞いたよ…

タイプの人


「好きになった人…じゃない?」

「好きになった人いた?」

「いないかな…」


相談相手になってないし

逆にこんなに冷めた人だっけ?って思った。


恋って、恋愛って甘いものじゃん…


バラ色まで言わないけど、街行く人は幸せそうに歩いてるよ…


私の大好きな彼はね…

「学校行って、とりあえずやる事やればいいし…別に夢とかないし、いつ死んでもいいと思ってるから…」

「茉叶が思ってるほど、俺はいい男じゃないよ」


高2ってこんな冷めてるの?

夢を持てとか言わないけど、青春真っ直中じゃないの?


うちのバカ兄貴は毎日楽しそうだよ…

まぁ…バカだから何にも考えてないのかもね。


悲しくなるから…

-いつ死んでもいいと思ってるから…-

なんて言わないで。


そんな平気な顔で言わないで。


さっきフラれたばっかりでヒリヒリしてた胸が…

今はズキズキ痛いよ…


こんなに切なくなるハズじゃなかったのに…


失恋より辛いよ…
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