明日の蒼の空
 車窓から身を乗り出して、電車の進行方向の海面を見たところ、レールのようなものが見えた。

 確かに、海の上に線路がある。

 水平線の彼方までずっと続いている。

 ちゃんと走れるのかと、私はなんだか心配になってきた。

「このまま、海の上を走るんですか?」
 夏美さんに尋ねてみた。

「そうよ。沈んだりしないから、安心して」

 御手洗さんと親しい夏美さんの話によると、海の上に敷かれているレールも御手洗さんが一人で造ったとのこと。

 全長、三十八キロメートルにも及ぶ海の上の線路。着工から完成まで、五十三年間も掛かったらしい。

 電車で海の上を走りたい。との思いから「レールを浮かせてください。どうか、どうか、どうか、何卒、よろしくお願い致します」海に向かって土下座をして、海面にレールを敷いたところ、重い鉄製のレールが海に浮かんだという。

 気分良さげに電車を運行している御手洗さんの電車に対する情熱は半端じゃない。と思うとともに、まさにメルヘンの世界だと思った。
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