明日の蒼の空
 今夜は……風俗求人情報誌を読んでいる。



 ページをぱらぱらと捲り、短時間で高収入と謳われた、ファッションヘルスの求人広告に丸印を付けた。

「早いほうがいいわね」とつぶやいて、椅子から立ち上がり、受話器を握り締めた。

「もしもし、求人広告を見たんですが」
 さっそく電話を掛けている。

「あ、はい。夜遅くでしたら、大丈夫です」
 とても真剣な顔つきで話し続けている。

「わかりました。明日の夜の十時ですね。その時間でしたら、大丈夫です。あ、はい。それでは、失礼致します」
 春子さんは受話器を置いて、寝室に入っていった。

「何を着ていけばいいんだろう」とつぶやいて、クローゼットから取り出した派手目な服とミニスカートとホットパンツをベッドの上に並べた。

 風俗店で働くのはやめてください。とも、考え直してください。とも、ご家族が悲しみますよ。とも言えず、私は何も声を掛けられなかった。
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