明日の蒼の空
　いつものベンチに座って、淡い水色の空を見上げていたところ、みんなのひまわり憩い食堂の真上に描かれている絵と文字が消えた。

　ランチタイム、終了の合図。

　私は期待を胸に膨らませながら、スケッチブックと水色の色鉛筆を持って、ベンチから立ち上がった。

　広場の中央に立ち、頭の中でイメージトレーニングしながら、何の絵を描こうか考えていたとき、私の方に向かって走ってくるひばりさんの姿が見えた。

「蒼衣さん、お待たせ」
　息を切らしながら、私に声を掛けてくれたひばりさんはエプロン姿のまま。お腹の辺りにあるポケットがちょっと膨らんでいる。

「私のために、お時間を割いていただいて、本当にありがとうございます」

「いいのよ。空のキャンバスに絵を描くことに興味を持ってくれて、すごく嬉しいわ。まずは簡単に説明するわね」

「はい。どうぞよろしくお願い致します」

　ひばりさんは身振り手振りを交えながら、空のキャンバスに絵を描く方法を説明し始めてくれた。

　私はスケッチブックを捲り、水色の色鉛筆を握り締めて、ひばりさんの説明をメモに取った。
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