明日の蒼の空
 一人で描くようになってから、町の人たちが声を掛けてくれるようになった。

「どうもお疲れ様です」
 作業着姿のお兄さん。

「いつも楽しみに見させてもらっています」
 スーツ姿の若い女性。

「すごく上手だね」
 可愛らしい子犬を連れたおばさん。

「今日も食べに行きます」
 赤ちゃんを抱き抱えた若いママさん。

「どうしてそんなに上手に描けるんですか?」
 配達中の郵便屋さん。

「お姉ちゃんの描く絵を楽しみにしてるよ」
 半袖半ズボン姿の小さな男の子。

「いつもいつも偉いねえ」
 背中の丸まった可愛らしいおばあさん。

「にゃあ、にゃにゃにゃにゃにゃ、にゃあ。にゃにゃにゃん」
 茶トラ模様の可愛らしい子猫ちゃん。

「オオー、ワンダフォー。ユーアー、グレートアーティスト」
 観光客なのだろうか。首にカメラをぶら下げた白人男性。

「今日も頑張ってますね」
 町長さんの吉川さん。

 多くの人の温かい声援を背に受けて、私は空のキャンバスアーティストになった気分でみんなのひまわり憩い食堂の真上に料理の絵とランチメニューの文字を描き続けた。
< 91 / 315 >

この作品をシェア

pagetop