明日の蒼の空
 日曜日の夜、みんなのひまわり憩い食堂の店員さんの萌さんと、びゅーてぃーさんふらわあの店員さんの美穂さんが私の家に遊びに来てくれた。

 今夜は四人で食卓を囲み、美穂さんが持ってきてくれた赤ワインで乾杯して、萌さんが作ってきてくれたシュークリームをご馳走になった。

 生まれて初めて飲んだ赤ワインは、ブドウジュースのようで飲みやすかった。萌さんの手作りのシュークリームは、パリパリの皮の中に濃厚なカスタードクリームがたっぷりと詰まっていて、たまらない美味しさだった。

「どうもご馳走様。ここからは、若い者同士で楽しんで」
 微笑みながら言ってくれた夏美さんは、ゆっくりと椅子から立ち上がり、自室に入っていった。

 私と萌さんと美穂さんは、ダイニングの椅子に座ったまま、おしゃべりをして楽しんだ。

 この世界のこと。町の人たちのこと。家族や友達のこと。仕事のこと。好きなものや好きなこと。料理のこと。美容のこと。絵やアートのこと。

 私の一歳年上の萌さんは、両親と兄との四人暮らし。

 私と同い年の美穂さんは、両親と妹と弟との五人暮らし。

 二人とも、この世界で生まれて、この世界で育ったとのこと。

 萌さんのお父さんは、二十五年ほど前まで地上の世界で暮らしていて、この世界で生まれ育った奥様と結婚されて、新たな家庭を築いたとのこと。

 美穂さんの両親はその逆で、二十七年ほど前まで地上の世界で暮らしていたお母さんが、この世界で生まれ育った旦那様と結婚されて、新たな家庭を築いたとのこと。

 違う世界で生まれ育った両親に育てられた萌さんと美穂さんの家庭環境は、この世界ならではの複雑な家庭環境だと思った。
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