運命を知らない占い師
あそこまで若い人の未来が見えないのは初めての事だった。
「哀れな少年よ」
鈴が鳴るような声で彼の未来を嘆く。
「君の未来に幸あらん事を」
無理だと分かっていても、少女はそう呟いた。
そしてはたと思いつく。
「それか…まさか私が…?いや、きっと違うだろう。今までと同じで二つのうちの一つ。死ぬ未来だ。きっとそうだ」
しかし少女はその考えを捨て去った。
「『私自身が関わる未来は私には見えない』。それがあの少年に当てはまるのかどうか。恐らく今までの人間同様当てはまらない。そしてその事を教える義理もないだろう」