Closer
「 晴山 千佳 (ハルヤマ チカ)です。西校から来ました」
「……そんだけか。あ、そこ空いとる席座れ」
ドカドカと歩くその姿はヤンキーそのもの。
ついでにドカッと座ったその席は、漫画のように窓際に座ってるあたしの右隣り。
あたしは興味無さげに、窓側に目をそらした。
変に関わりたくない。
それが本音だ。
だけどそれに気付いたかのように、担任は「おい〜岡谷〜、晴山と仲良くしろよ〜」って欠伸をしながら言ってきた。
世話係はあたしか。
心の中で溜息をつきながら、軽く担任を睨む。
担任はこっちを見るそぶりも見せない。
ほんとに適当。
面倒くさそうなあたしの目に、可愛いリンの姿が映った。
『が ん ば れ』
口パクでそう伝えて、ニコニコマシュマロみたいな表情をする。
顔が自然に綻んで、私は天使に意地悪く笑って手をシッシッと払った。
とりあえず、嫌だ。
と思った。