熱愛系エリートに捕まりました
うん。髪よし、顔よし、服よし!

ふぅっと大きく息を吐いて、気を引き締めて自分に気合いを入れた。

大丈夫、今日のわたしは我ながら史上最高の出来だわ。


そうしている間にも時間は過ぎていて、そろそろ家を出る時刻に差し掛かっていた。

バッグを持ち、ブーティを履いて、外に出てオートロックのドアを閉める。


…次にこのドアを開けるのが今日なのか明日なのかはわからないけど、そのときにはもう、薬師丸さんとの関係は終わってるんだ。

そう思うと泣きそうになって、慌てて上を向いて堪えた。

涙を流したらメイクが崩れちゃう。


何度か深呼吸して気持ちを落ち着けて、待ち合わせの最寄りの地下鉄の駅に向かった。

今日はどこもかしこも渋滞するから、珍しく、というか初めて電車で移動することになっている。
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