熱愛系エリートに捕まりました
大通り添いにある地下鉄の出入り口に着くと、その傍らに立つその人を見つけた。

整った顔立ちにシュッとした体躯、高めの身長は確か178㎝だと言っていた。


グレーのハイネックのニットは、記憶が正しければ初めて出かけたときにアウトレットでわたしが見立てた海外ブランドものだ。

それにシンプルな黒のチェスターコートと、スキニージーンズにモカシンで、冬なのに全体にスリムなシルエット。


そんなイケメンが人通りの多い場所に立っていたら、そりゃあ注目が集まるもので。

行き交う女性たちは、大学生から30代くらいまで、通り過ぎざまにチラチラと薬師丸さんを見ている。


そこに自分から飛び込んでいくのにはちょっと躊躇ったけれど、今日は堂々と彼の隣にいようと決めたのだからと腹を括った。

開き直りとも言うけれど。


「薬師丸さん!お待たせしました」

「あぁ、おはよう」
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