初めての甘い恋人
挨拶も終わり立ち話もなんだからと、社長に促されおのおの、ソファーに腰かける。


「アリアちゃん、藤堂さんはこのビルのオーナーなのよ」

「えっ?……」


やっ、やばい……自分の気持ちにいっぱいいっぱいで、まともな会話も出来ない…。カイルはそんな私を見て目を見開いている。


そうだよね…。戸惑うよね…。私も戸惑っているから…。


「あの、アリア様…。」


ぬっ!!様…。


「あっ!はい!!」

「今宵は私と食事をしてくださると聞いておりますが…。」

「え……そうですね……」


そうだった!本題はそこだよね!?私……大丈夫か!?あ、カイルが居てくれるから大丈夫だろうけど。カイルと一緒というだけで、少し胸が落ち着く…。


そんな私をよそに、カイルは爆弾を投下した。


「アリア、二人で行ってこいよ!」


へっ?ぬぁーー!!裏切ったぁ!!カイルから見捨てられた……


「俺、このあと予定があるので…。藤堂さん、アリアのことよろしくお願いします」


カイルはそう言って頭を下げ、社長室を出て行った。

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