蛍が浮かぶ頃 【砂糖菓子より甘い恋2】
二の二 捜索
「龍星、お姫様がちゃんと謝りたいって」
雅之が外に居る龍星に声を掛ける。
毬は立ち上がって、部屋の外へと出た。
龍星は壁にもたれて瞳を閉じていた。
その近くに楓もうろたえ気味に立っている。
「龍、心配掛けてごめんなさい」
震える声は細く、今にも折れてしまいそうだ。
龍星はゆっくり瞳を開け、ふわりと微笑んだ。
周りの空気すら一気に華やぐ。
「叱って悪かった。
毬が無事なら、それでいい」
「姫様、左大臣家に帰られますか?」
おずおずと、楓が口を開いた。
毬は驚いて弾かれたように龍星を見た。
「嫌よ、龍っ
どうして?毬が悪い子だから?」
「いいえ。
でも、毬が心配で何も手につかなくなる。
これ以上、自分を抑える自信がない」
龍星は自嘲的に呟いたが、毬がその真意を図れるはずもない。
「嫌っ」
立ち尽くした毬の瞳から、涙が溢れていた。
雅之が外に居る龍星に声を掛ける。
毬は立ち上がって、部屋の外へと出た。
龍星は壁にもたれて瞳を閉じていた。
その近くに楓もうろたえ気味に立っている。
「龍、心配掛けてごめんなさい」
震える声は細く、今にも折れてしまいそうだ。
龍星はゆっくり瞳を開け、ふわりと微笑んだ。
周りの空気すら一気に華やぐ。
「叱って悪かった。
毬が無事なら、それでいい」
「姫様、左大臣家に帰られますか?」
おずおずと、楓が口を開いた。
毬は驚いて弾かれたように龍星を見た。
「嫌よ、龍っ
どうして?毬が悪い子だから?」
「いいえ。
でも、毬が心配で何も手につかなくなる。
これ以上、自分を抑える自信がない」
龍星は自嘲的に呟いたが、毬がその真意を図れるはずもない。
「嫌っ」
立ち尽くした毬の瞳から、涙が溢れていた。