蛍が浮かぶ頃 【砂糖菓子より甘い恋2】
「真竜」

夜の京。
闇に沈み、静まりかえったその街で、少年は一人彷徨い真竜を探す。

何度も何度もその名を呼ぶ。


「太一」

闇の中から名前を呼ばれ、少年は弾かれたように顔をあげた。
昼間と同じ屈託ない笑顔で、真竜が手を差し伸べる。

太一は手を伸ばしかけて、恐る恐る引っ込めた。


「止めとくよ。また、真竜が倒れたら困るから」

「太一のせいじゃないよ。でも、ま、いっか。行こうぜ」

二人は深夜の京の街を風のように駆け抜けて、馬舍へ向かった。


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