最後にあなたの唇を





私のよく知る車の中で、2人の影が重なっている。



角度的にそう見えるとか、そういうのじゃなくて。


遠目からでも、2人の唇が重なってるのが嫌でも見えてしまった。





「……ッ」



視界がボケて歪んでくる。



それでも涙はこぼすまいと、必死に堪えて足を帰路に向けた。






───────
────




「………ゆ、さゆ、さーゆ」

「…ん……」


「ほら、起きて。こんなところで寝てたら風邪引くぞ?」

「んー…、しゅ…と?」

「うん、俺だよ。ほら起きて?ベッド行こ?」




薄っすらとしか開かない目を開けると、そこにあったのは私の大好きな人の顔がある。





「修斗」

「ん?」


思わず名前を呼んで手を伸ばしたけど、彼に触れる前にその手を止めた。




< 12 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop