こちら、メディア検閲科
『齋藤泰一くん!おめでとうございます‼‼
今の気持ちを一言!』

『突然だからもう何のことだか……』

『努力の賜物ですね‼この快挙を、誰に一番先に伝えたいですか?!』

『いや、その……』

『大学には入学しますか?!』

『…その…えー…』

インタビューされている姿を、された本人である俺がテレビで見ているこの謎すぎる光景。

夕べ時の食卓にはなんかご馳走があった。

「泰一おめでとうー!!!すごいわねー、見直したわー!」

母が頭にパーティ用の三角帽を被っている。隣では面な鼻と口ひげを着けた父がワインを開けていた。

「泰一、お前は俺の誇りだー!こんなにも、こんなにも大きくなって……っ」

やめてくださいお父さん。俺の良心が痛みます。
たまたまなんすよマジで。

「ささ、泰一!食べて食べて!今回泰一の好きなものばっかり作ったんだから!
国立なんて本当にすごいわ!!入学式用に新しいスーツを買わなきゃ!」

お母さん、ごめん。
ご飯美味しいんだけどそうじゃないんだ。
てか俺入学するとか言ってないよ。

りりりり…
突如電話が鳴り、母さんが出る。
はい、はい、と二言目ぐらい返事をして、俺の方を向いた。
受話器を渡して!グッドサインをする。

「泰一、女の子からよ。やるわね‼‼」

え?何なのもう。
白目を剥きながら受話器を取る。
すると、なんか聞き覚えがある声がした。

『齋藤君?』

俺は咄嗟に反応する。

「か、かかかか、川村さん?!」

川村さん?!どうしたの一体?!

『テレビで見たの。全国一位と、国立大入学おめでとう。』

「あ、ああありがと!」

声が跳ね上がる。ヤバイ、超嬉しいんだけど。
振られたばかりなのに何この高揚感。

『あんな事言っちゃってごめんね。でも、私応援してる。
頑張ってね。』

「はい!頑張ります‼‼」

もうこれだけの会話で俺は十分だった。
ぶっちゃけお腹いっぱい。
好き。

……ハッ‼‼
俺ってば頑張るなんて何てことを口走って……

つい、油断した。

両親の目がキラキラ輝いてる。

……ヤッチマッタ……
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