こちら、メディア検閲科
検閲科のマドンナ
県内でも有名なバスターミナル。
そこに集合と言われて、早朝そこで俺は立っていた。
週末でもあり人が集中している。
でも辰岡さんは派手だからすぐに見つけた。

今度は虎柄のジャケットを来ている。

そのセンスどうにかならないの……?

「おはよう斎藤くん。この間はどうもありがとう。
あなたが見学に来てくれるだけでもとても嬉しいわ。さ、行きましょう。」

「あ、どうも……」

背を押されるまま連れて行かれる。
変質者が学生を捕まえているのかと勘違いされているのか、
沢山の人の目がこっちに集中した。
やめて、そんな目で見ないで。
この人はセンスと口調以外は多分変質者じゃないから。

白目を剥くまま、とあるバスを前にする。
ドアが開かれて、俺は前の方の席に座らせられた。何か大学生っぽい人がいっぱいいる。どうやら学校所有のバスのようだ。

辰岡さんは立ったまま次々に乗り込む大学生たちに挨拶を交わしながら、席へ誘導していた。
数分か経ち、バスの戸が閉まる。

すると、隣で辰岡さんと話す若い女性の声が聞こえた。

「辰岡先生、私は立っていますから、お席の方に座ってください。」

辰岡さんはいいわ、と答える。

「それよりもあなたに頼みたいことがあるの。
丁度あなたの隣に、特別見学者がいるわ。先輩として座ってお話をしてあげて。」

「前に仰っていた全国一位の斎藤くんですね!光栄です、ありがとう!」

そして、隣の席に女性は座った。
恐る恐る視線を向ける。
そこにはとても綺麗なお姉さんが座っていた。

「メディア検閲科の一期生、藍川です。よろしくね、斎藤くん。」

「あ……あ……」

どうしよう、めっちゃ綺麗。
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