笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
9 日本の夏の風物詩
 梅干しの種を口に含みながら、川幅の広い最上川を渡って、北に向かって歩き続けていくと、前方に大きな山が見えてきた。

 まるで富士山のような山。

 博学なまなちゃんの話によると、あの大きな山の名前は、鳥海山(ちょうかいさん)。といって、冬になると山頂に雪が積もり、富士山のような出で立ちになるとのこと。

 秋田県にそびえ立つ、富士山のような鳥海山。あたしはまた一つものを覚えた。



 田舎は道が少ない。進む道は限られている。酒田駅前で地元の人に道を尋ねてみたところ、鳥海山を越えるまでは、日本海沿いの国道七号線を歩いていったほうがいいと教えてくれた。

 あたしとまなちゃんは、再び日本海沿いの国道七号線を北に向かって歩いていき、池袋を出発してから、五十一日目にして、ようやく秋田県に入った。

 博学なまなちゃんの話によると、秋田県は縦に長いとのことで、日本で六番目に広い県とのこと。

 北海道の宗谷岬までの道のりはまだまだ長い。
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