恋の相手は…おじさん!?
新たな出会い
大学も加藤さんがいなくなった最初の方は授業についていけないと大変と思い通ってたが、今となっては頑張る理由が見つからなく、休みがちになった。
クリニックの人達は毎日のように訪問してくれた。
「そらちゃん大丈夫?あんま無理しないで。」
「戻れる時に来たら良いからね。」
そんな優しい言葉をかけてくれる。
私はクリニックの人達を裏切った。
なのになんでそんなに優しいのか。
余計涙が溢れ出した。
でも、そんなある日のこといつものようにクリニックの人達が訪問してくれた。
だが、今日は1人だけみたいですごい剣幕で怒鳴っていた。
いつになったら戻るんだ。
大学はどうするんだ。
と扉の向こうで叫んでいた。
クリニックで働くには大学は卒業しないといけない。それに見習いもやり続けないといけない。そんなことは頭で分かってる。分かっている…
けど加藤さんがいなくなった今、私はなんもやる気が出ない。
てか、まだこのビルのヒミツも教えてもらってないし…加藤さんに出会った日教えて貰える雰囲気だったのに…加藤さんなんも言ってくれなかった…いや、別に加藤さんのことせめてるわけじゃないけど…無責任。ま、そこが加藤さんらしいけど…でも、まだまだこのビルのこともクリニックのことも勉強も教えてもらってないよ…加藤さんどこ行ったの…帰ってきてよ…食事もまともにとってないし、携帯を触りゴロゴロする毎日…もちろん勉強なんて手付かず。
加藤さんのこと好きだったのかな?私…。
こんなに何も手につかなくなるなんて初めてだ。部屋もあんなに綺麗だったのに、加藤さんがいなくなったあの日から汚くなった。
また、強引に入ってきてよ。
俺がいなくなるわけねーだろ(笑)と言うように豪快に笑って見せて。
加藤さんのことを思うと涙が一層溢れ出る。
もう、加藤さんが消えてから二週間が経ったというのに私は家から1歩も出れない所か悲しみから立ち直れないでいた。
クリニックのみんなに迷惑かけてるの分かっているのに、戻らないといけないのに、行動に移せない自分が嫌になる。
するとさっきのクリニックの人が
おい、お嬢ちゃん!
いつまでクリニックと大学サボってんだ!
いい加減扉開けろ!
と外からまた怒鳴り声が聞こえた。
正常な判断ができなかった私はその声が加藤さんそっくりでもしかしたら、加藤さんが帰ってきてくれたのかと思い、いつもは無視するはずのクリニックの人の言葉をその時ばかりは返事をしてしまった。
そんなに人生上手くいく訳なんてないのに…。
「おい、嬢ちゃん、まだか?早く準備しろ。俺も仕事残ってたんだ。出張先から戻ってきた所で疲れてんだ。」
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