食わずぎらいのそのあとに。
3月の和解

機嫌悪く帰ったわりに、タケルからは毎日連絡が来る。体調平気かとか、ちゃんと食べられてるかとか、毎日聞いてくれる。

土日のどちらかに私の実家に行きたいと言われたけれど、予定を聞いてみるねと言ったまま、はぐらかしている。

出掛けるから都合悪いんだって。

なんてすぐばれそうな嘘をつきたくなったけれど、こんなことで嘘ついてると癖になりそうだと思いとどまる。

そして、ほとんど顔も見ないまま、また週末。 結局土曜も出勤だという連絡に、正直ほっとする。

毎日会社に行くだけでへとへとで、特に何もせず夕方まで惰性に過ごしているところにタケルから連絡が入った。


【今日行っていい?9時過ぎになると思う】

【いいよ。ごはん食べる?】

【食うか買うかしてから行くから平気】

タケルらしい、自立しているというか距離を取るというか、そういう態度。

確かに食欲は相変わらずないし、家に帰るとひたすらごろごろしたい毎日なので、気を遣ってくれてるのは助かってる。

そのくせ寂しいとか、ほんとやっかいな自分を呪いたくなる。

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