恋愛生活習慣病
「時間が無いんだ。俺も行くよ。また連絡する」

「あ、はい。仕事頑張ってください」


冬也さんは本当に急いでるみたいで、腕時計に目をやるとすぐにエレベーターに向かった。
クロエさんも一緒に行こうとしたけど、なぜか立ち止まってわざわざ戻ってきた。


『トーヤの出張には私も同行するの。行先はパリよ。一週間は帰らないわ』

「あ、そうですか……」

『その間、思いきり誘惑させてもらうから。悪く思わないでね』

クロエさんは嫣然と一笑すると、9センチヒールの音を高く響かせながら去って行った。
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