ただ、守りたい命だったから
(薺side)

なんてことをしてしまったんだ…。

なんで、オレは慈季の元に一番に行ってやれなかったんだ?

もう、潤はオレを許してはくれないだろう。

それだけのことをしてしまった。

「薺、説明しろ。」

綺壱のドスのきいた声、久々に聞く。

事のあらましを説明。

全て聞くと、いつまでも隣にいたベビーシッターに、綺壱が目線を向ける。

「帰れ。これは殺人未遂だ。警察には話がいくし、お前の派遣会社の社長にも話す。今に始まったことじゃないんだろ?慈季だけじゃない、余罪も含めて覚悟しておけ。リビングにはカメラがある。言い逃れはできないからな。」

慌てて走って逃げ出した女。

それでも俯いた顔をあげることができない。

「薺。わかってると思うが、許しと信用を取り戻すのは並大抵のことじゃない。腹の中にいたときから大事にしてた櫂琉の信用もな。お前も覚悟しておけよ。」

「オレが悪い…。なんで…オレはこんなこと…。」

「今さらおせぇよ。今日は潤も興奮してるし、一旦オレん家行くぞ。」

後ろ髪をかなり引かれながら、綺壱にゆっくり続く。

慈季、潤、ごめん。

どうか許してほしい。

離婚なんて言われたら、オレ生きていけないんだ。

二人と離れて暮らすなんて、今さら無理なんだ。

もう、間違えないから。

どうか…。
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