世界にひとつのどこにもない物語
手を繋いだら何かが変わるとは思えません
それから1週間が経った。

「えーっ、もう住んでいるんですか!?」

大きな声で叫んだ倉坂に、
「静かにしてください」

まやは言い返した。

「住んでいると言うよりも、あの人が家に帰してくれなかったと言った方が正しいです」

1日だけなら…と思ったのが悪かった。

自分が家に帰ろうとすると、必ずと言っていいほどに狼谷は引き止めて家に泊まるようにと言った。

「心配だからやないか。

絶対に火事が起こらんとは限らへんやん」

またこの間のようにダダをこねられるのは厄介なのでズルズルと狼谷の家に泊まっていたら、
「昨日泊まったらビックリしましたよ。

部屋に私の家具や荷物が全部そろっていたんですから」

まやは嘆くように倉坂に言った。

家にあったはずの家財道具が泊まっている部屋に全部運び込まれていたと言う訳である。
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