そのイケメン、オタクですから!

4

校長先生に頭を下げて、先生方の視線を感じながら職員室を通り抜けて生徒会室に向かう。

生徒会室前には署名に協力してくれたんだろう。
沢山の生徒が詰めかけていた。

「悠斗!」
「及川!」

口々に皆が及川先輩の名前を呼ぶ。
その声に非難は感じなくて、私は安堵のため息をついた。

及川先輩が校長先生から受け取った「可決」の文字が印刷された用紙を掲げると、どよめきが起こる。

「留愛ー、おめでとう!」
よっちゃんが飛びついて来た。

「よっちゃん! ありがとう。夢みたいだよー」
「1年間、よく頑張ったね。偉い偉い」
よっちゃんがよしよししてくれる。

「良かったね、悠斗。彼女とは別れちゃったし、僕も退学にならないで良かった」
桜井先輩が大して残念でもなさそうに言った。

えぇ?
名簿出したのって2日前だよね?
もう別れちゃったんだ。
桜井先輩って、やっぱり謎だ。

いつの間にか隣にいたはずの及川先輩は生徒たちにもみくちゃにされてる。

「やめろー」って迷惑そうに言ってるけど、表情は嬉しそうだ。

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