そのイケメン、オタクですから!
「留愛! 佳子! ご指名」
クラスメイトに呼ばれて向かった席には、やたらに落ち着きのない健くんがいた。
その隣には……不機嫌丸出しの生徒会長。

「こ、これは、留愛が無理やり……」
よっちゃんの頬が摘みたての苺みたいに染まった。

健くんは目を逸らしながらも「あ、いや、いいんじゃないか……」なんて言ってる。

初々しい二人は置いておいて、私はとびっきりの笑顔で弾んだ声を出す。
「お帰りなさいませ、ゆうぴょんご主人様」

「……馬鹿」
怪しいと思ったんだよな。もっと注意しとけば……とかぶつぶつ呟く先輩に、ふりふりミックスジュースを入れてあげる。
色はもちろん赤。

学校でナナの格好なんて先輩が許してくれるわけはないから、実は強行突破なのだ。
「今日はお祭りだから、許して下さいね」
「祭りじゃなくても好き勝手するくせに」

膨れっ面の先輩に「後10分で当番終わりだから、一緒に回りましょ」と囁く。

先輩の休憩時間はちゃんとチェック済みだもん。
いくら生徒会長が忙しくても、高校最後の文化祭、楽しんで欲しいもんね。
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