そのイケメン、オタクですから!
ウイーンと自動ドアが開いて、団体様がお見えになった。

わぁ、今日はラッキー。
私のお得意様だ。

メイドカフェが出来た時は、お客様は本当にオタクって人ばっかりだったらしいけど、今は違う。普通のOLさんにお嬢様って言うこともあるし、会社員っぽいおじさんが来たり普通にオシャレな男の人が来たりもする。

でもそういう人たちは指名をすることも通う頻度も少なくて、私の生活を支えてくれているのがこの常連様達なのだ。

何故かチェックのシャツをインして、中のTシャツは大好きなキャラクター。
ビン底みたいなメガネにチノパンで、足元はスニーカー。
鞄はリュックか斜め掛けバッグで、揃って前髪は長め。

たぶんネットでオタク、画像って検索したら出てくるようなファッション。
私には格好良くすら見える。

「ご主人様。お早いお帰り嬉しいですぅ」
とびっきりの笑顔を向けて一人一人顔を覗き込んでいく。

大体いつも4人で来るこの人達。
私は勝手に「背のジュンジャー」と名付けている。

もちろん心の中で。

一番前は身長165㎝くらいのセノジュンイエロー。特徴はガリガリの体型。
二番目は身長170㎝くらいのセノジュンブルー。特徴は横に広すぎる体格。
三番目は身長175㎝くらいのセノジュンパープル。特徴はおしゃべり。
四番目は身長180㎝くらいのセノジュンレッド。特徴は恥ずかしがり屋。

要するにちょうど5㎝刻みくらいの身長で順番に入ってくるからなんだけど。
戦隊ものには一人足りないし、センスのない名前だったのはわかってるんだけどね。
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