そのイケメン、オタクですから!
ピピピピピ!

タイミング良かったのか悪かったのか……。
休憩時間は終わりを告げて、私は先輩から渡された参考書に向き直る。

チョコレートは、食べるのもったいないからまだ置いとこう。

先輩の指導は言葉少なで、的確だ。
ヒントをくれて考えさせるから、自分で理解できた気分になる。

大嫌いな数学なのに、時間が経つのはあっという間だった。

コンコンッ

ノックの音に「はい」と答えると、よっちゃんが顔を出した。

「留愛、調子どう……?
及川先輩、お疲れ様です」

帰るから、誘いに来てくれたのかな。
頭を下げて先輩の様子を伺うよっちゃんに「お疲れ」と笑顔を向けて、先輩は荷物をまとめ始めた。

及川先輩は参考書とプリントに手早く付箋をつけていき、私の目の前に「宿題」が積まれる。

「明日までにやってこいよ」
「は、はい」

ぱっと見で付箋は10枚くらいある。
たった一日で出来るかなって量だ。
だけど先輩もどうやら、とことん付き合ってくれる気らしい。

それならこっちも頑張らないと申し訳ない。

「健くんの店で一緒にやろ」
隣に来たよっちゃんが慰めるように囁いてくれた。
「ありがと。よろしく」私も小声で返す。

鞄を肩にかけて立ち上がった先輩に「明日もよろしくお願いします」と頭を下げて、生徒会室を後にした。
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