俺様副社長のとろ甘な業務命令
「あのっ、副社長」
朝とは全く違う装いの自分を眼下に、足早に先を行く副社長を追い掛ける。
まさか、こんなことになるなんて……。
あの後、急いでフィッティングルームから出て行くと、すでに副社長は支払いを済ませて待っていた。
その場で何か言える雰囲気はなく、店頭まで出てきたスタッフの方に見送られて店舗を後にした。
けど……こんなお高い服、どうすればいいの?!
「あの、この服、どうしたら」
「どうしたらって」
ふいっとこっちに振り向いた顔は、何事もなかったようにいつも通りで、更に私を困らせる。
「黙ってもらっておけばいいだろ」
「いや、だってこんな高額なもの、いただく理由がありません!」
「汚れた服の間に合わせだ。気に入らなかったら捨てればいい」
「えっ?!」
す、捨てる?!
ななっ、何てことを……!
「そんなこと、できるわけないじゃないですか!」
「じゃあいつまでも騒いでるな」
困っている私を鼻で笑うあたり、慌てふためく姿を面白がっているような気もする。
けど、横に並んだ私を改めてまじまじと見た副社長は、見上げた私へと柔らかな笑みを浮かべた。
「全然見劣りしてない。似合ってる」