俺様副社長のとろ甘な業務命令
その一言と微笑で、それ以上何か言うことができなくなってしまった。
嬉しい気持ちよりも照れ臭いような感情が押し寄せて、また赤面していくのを感じる。
こんな時に限ってずるいと思った。
いつもみたいに、こっちが言い返せるような毒を吐いてくれたら、この複雑な感情だって紛らわすことができるのに。
茶化して欲しいこういう時は、調子が狂うような顔と言葉で混乱させられる。
何よ……。
そんな風に言われたら、どうしたら……。
「そ、そんなお世辞言ってもらっても、何もお返しできないですよ?!」
耐え切れなくなってまた可愛くない返しをした私に、副社長は口角を上げてフッと笑う。
それがまた全てを見透かされているようで、強気に出たことを後悔させた。
「そんなの始めから期待してないから心配するな」
「っ、何ですかその言い方! 私だってですね!」
「だから、興奮するな。お前はすぐ声のボリュームが上がる」
「なっ……!」
「お上品な服着てんだから、身振りもお上品にしとけ」
「!?」
結局その場ですぐにお礼の言葉を言うこともできず、上手な副社長にたじたじになるしかなかった。