私の彼氏は超肉食系
そこで私は彼の浮気癖の解消と医者を目指すためという一挙両得をするために考えついたのが、泌尿器科医が行う前立腺肥大を確認するための触診行為である。

目指す泌尿器科医は、前立腺ガンの増加と共に今最も必要とされている分野のひとつ。

だが生殖器を扱うことから日本では成り手が少ない。

開業医だと性病を扱う皮膚泌尿器科という兼業医が多い。

本当に必要な前立腺の専門家は不足している状況らしい。

特に女性は『泌尿器=性器好き』と思われてしまうという風評被害もあってか皆無だった。

泌尿器科を持つ医大付属病院で、女医は特別待遇のエリートコースに無条件に乗れるくらい優遇されている。

彼の身体を使い、泌尿器科医の触診の練習をしつつ、彼の欲望にも応えようと言うわけ。

前立腺の周囲には快感中枢が多くあり、風俗でもそれを目的とした店もあるほどと聞いたことがある。

     ☆

そして彼は夢中になった。



毎夜の欲求が半分になった。

触診が行えない普通の女性では物足りなくなったのか浮気癖は成りを潜めた。

さらに次の一手を打つ。欲望を抑える効果がある注射を定期的に受けさせることにした。

彼は常々、自分の強い欲望に嫌悪感を持っており、そのことがある種の病気と結びついたのである。

知り合いの精神科医は断言を避けていたが注射の処方に同意してくれた。

定期的に受けさせるようになって2ヶ月ほど。

さらに夜の相手の回数が減り、そこそこ効果があがってきたところへの別れ話である。

某国営放送の大河ドラマは約3ヶ月程は拘束されるらしい。

それだけの期間があれば注射の効果も切れる。

さらに私の触診行為も無しにうまく乗り越えられるのか・・・うまく乗り越えたとしても、必ず私の元へ舞い戻ってくるに違いないと踏んだ私は彼の母親が求めた誓約書にサインしたのだった。
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