私の彼氏は超肉食系

震撼する芸能界

「これじゃあ。俺、誘拐犯じゃねえか。どうしてくれんだよ!」

いや。

どう考えても誘拐犯だから。

私は白いバンに乗せられている。

突然、白いバンが路肩に横付けされたと思ったら、男が数人出てきて引きずりこまれた。

そして、何か分からない書類に署名させられた上で朱肉を指に付けられ書類に押させられた。

目の前には、映画監督だった男『観奇谷鬼好』が居る。

私の顔はこの男に引っ叩かれボンボンに腫れあがっている。

これまでの腹いせなのだという。

大して抵抗しなかったというのにこれなんだから、抵抗していたらと思うとゾッとする。

この間およそ30分。

いつの間にか後方にパトカーが現れて追ってきている。

男たちはパニックになりながらも高速道路の料金所を突き破り、東名高速道路を南下している。

「アダルトビデオを撮って売れば、お前の間違った評判なんざ一発で地に落ちる。そうすれば、この俺も映画業界へ復帰できると思っていたっていうのに、くそっどうしてこうなったんだ。」

さっきの署名捺印させられた書類はアダルトビデオの出演承諾の書類か。

私の評判なんて第2作目が公開されれば下がっていくだろうから、こんな面倒なことをしなくてもいいのに。

でも私のアダルトビデオ出演とこの男の映画業界復帰の話は関係無い。

この男の映画に出たいという俳優が居ない。

どう考えても無理。
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