私の彼氏は超肉食系
『この人、知ってます!!』

突然、画面にマンションの管理人さんが映りこむ。

『3月下旬からつい最近まで平日の午後3時前後にこのマンションに良く来てますよ。』

なるほど。

そういうことか。

社長の愛人というタレントを何処かで見たと思ったら、同じマンションの住人じゃない。

週刊誌に載った私の写真から、私の家を割り出せたのね。

それに住人なら、マンションの入口も開けるからマンションにも当然入れる。

この時間帯に管理業務をしていないはずの管理人を買収して足止めするくらいのことは簡単にできる。

社長は私の部屋にドラマを依頼しに来たあと、平日の昼間に愛人宅に足繁く通ったのだろう。

私が土下座させたことを根に持って仕返しをする作戦を練るために。

社長は中継を止めさせようと司会者やディレクターのところに向かい、なにやら叫んでいる。

私は1カメ、2カメに近寄る。

「今、会社が大変な時でしょう? 社長が視聴率取りのために身体を張ってるの。音と映像を追ってあげてほしいの。」

そう囁くとコントロールルームにも繋いでくれたようで社長の上空にマイクが移動し、司会者やディレクターとの醜いやりとりをカメラに収めるのだった。
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