私の彼氏は超肉食系

どいつもこいつも

机の上に帯のついた札束が、ひとつ・・ふたーつ・・・みっつー・・・と置かれていく。

これで2度目の光景。

思わず目で追ってしまうのが悔しい。

普段、こんなにお金を見るような生活をしていないのだから仕方無いよね。

ここは芸能事務所が用意してくれたマンションだ。

家賃は要らないらしい。

オートロックどころか住み込みの管理人が居る高級賃貸マンション。

マンションに入るにはICタグ付きのキーを持って自動ドアに近付くだけという最新設備が売りだという。

「このお金は?」

「やはり、慰謝料も受け取ってもらおうと思って持ってきたの。手切れ金があったのに慰謝料が無いなんておかしいでしょ。」

意外と律儀な人ね。

「用意できるのはこれだけ。遠慮しなくていいのよ。これには今後芸能界で生きていくための軍資金も含まれているから。」

目の前には前回と同様に札束が積み上げられていた。

そういえばバラエティー番組に出演した際に用意してあった服に付いていた値札を見た瞬間、その金額のあまりの高さに頭がクラクラした。

エステ代にボイストレーニング代は芸能事務所が払ってくれるらしいが、マナー教室にワイン講座、スポーツクラブ代にダンス教室、全て夜に予定を入れて貰っているが寝る暇も無いんじゃないのだろうか。

教室代は全て自分持ち。

さらに服にアクセサリーに靴にバッグ、全て女優として一流のものを身に付けろと言われてしまった。

庶民派ではダメらしい。

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