神様っ!!
 胸にぽつりと針の穴を開けたような、寂しさがある。小さいから仕事をしていたり、祐希とご飯を食べていたりすると気にしないでいられる。

 それなのに、ふとその穴からなにか零れ落ちているようで、たまらなく寂しくなる。何も気にせず話せるのなんて幼なじみの柊くらいだった。

 なにかあったら頼れるのも。

 それもあたしに結婚相手ができたなら、きっと疎遠になっていただろうし、離れなくてはいけなかった。だってそんなの、不誠実だから。

 そこまで考えてはっとする。友情に、誠実だとかあるのかって。なんだか裏切ってはいけない、付き合うのなら誠実に……なんだかそれって……

「幸! 時間ぴったり」

「まだ10分あるじゃない」

「待ちあわせ10分前は幸時間ぴったりでしょ」

 根が真面目なのでいつも約束時間の10分前には着いていることへの確認みたいだ。

「そういうところ好印象だぞ~」

「そんな気にしてる人いないってば」
< 73 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop