プロポーズは金曜日に
「……り、麻里」

「ん……」

「六時十五分ですよ。タイマー鳴りましたよ」

「ん」

「麻里、麻里、起きてください」


揺すぶられて眉根を寄せると、少し浮上した意識が香ばしい匂いを認知した。


「麻里、朝ですよ」

「うん……」


むにゃむにゃ言いながら目を開けたら、伊波くんの綺麗な顔がドアップで視界を占めていた。


え。は? ええ!?


「わああ!?」

「あ、起きました?」


よかった、と笑う伊波くんに、こくこく、何度も首を振る。


顔を見て悲鳴を上げるなんてあんまりひどいよね、ごめん。

びっくりしちゃって。ほんとごめん。


でも、起きたから離れてくれないかなあ、なんて。


離れて欲しいんだけど、いまだに視界いっぱいに満面の笑みの伊波くんが映っている。


なんだろ、この状況は。朝からすごいきらきらしいものを見てしまっている。


夢かな、夢なのかな。


伊波くんが暖房をつけてくれたらしく、思ったより寒くない室温とあまりの驚きで、完全に目が覚めた。


私は結構目覚めが悪いうえに、あまり寝ていないから眠いはずなんだけど、頭がすっきり冴えている。


……伊波くん、おそるべし。
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