【完】『けったいなひとびと』

このニューヨークから派遣された社長というのが、江戸以来の老舗らしい大らかな企業風土に馴染んできた社内では、持ちきりの噂となっていた。

「どんなおじさんかと思いきや、帰国子女のそこそこ美人の女性社長らしい」

というのである。

しかも。

花輪屋では初の女性社長でもあった。

就任するとまず、

「化粧品の会社なのに、営業やマーケティングが女性目線でないのはおかしい」

という方針を打ち出し、まず開発部と企画部の女性社員の比率を倍にする人事に手をつけた。

これで。

それまでコピーやお茶汲みが多かった女性社員はほとんど営業部か開発部に移り、社内の雰囲気は華やかになった。



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