【完】『けったいなひとびと』

騒動


夕方。

東京本社のエントランスに、祇園の女将たちが大人数あらわれた。

総勢で五十人はあろう。

あでやかな着物姿にみな髷を結い、かぐわしい鬢つけ油の香りを漂わせ、木履や下駄の音を響かせて行列を仕立てたその姿は、

「なんだか大奥みたいだな」

と口々に評が立った。

花輪屋のフロアにあらわれると、

「弁護士の竹内さん、呼んどくれやす」

とねじ込んだ。

「アポイントメントは…」

「つべこべ言わんと、早ようお取り次ぎやっしゃ!」

梅野屋の女将がピシャリと叱る。

その気迫にフロアはざわつき、受付はあわただしく走り回る。



< 89 / 128 >

この作品をシェア

pagetop