【完】『けったいなひとびと』
懐かしい東京本社の雰囲気は、思った以上にどんよりしていた。
例の梅野屋の女将が押し掛けてきた──大奥騒動と呼ばれていた──あの騒ぎ以来、花輪屋のイメージは地に落ちて、売り上げも風評もかなり悪化しており、
「かなり士気が下がってるんだよねぇ」
と紫は説明をした。
「で、今の社長は病弱なんやろ?」
「給料も下がったし」
「うーん…この状態、秀島社長ならどうやって回復するやろか?」
何気なく駿はボソッと言った。
「まぁおればの話やけどな。俺かて京都の営業主任でいわば振り出しに戻ってるし、それこそまたファンドから新しく人呼んだらえぇんちゃうか?」
「それはむちゃくちゃでしょー」
かなりの無謀な思い付きに、紫は苦笑いするしかなかった。